今年もまた僕の年間フェイバリットはアメリカ勢に傾いていて、イギリス発の作品は6枚のみ。とはいえ、優れたアンダーグラウンド・フォークとエレクトロニカ、ノイズ作品に関してはイギリスもまだ捨てたもんじゃない。しかし、そうした作品群がNMEのような大手メディアでほぼ無視に近い扱いを受けているのにはがっかりさせられる。僕がNMEの年間ベスト・リストをくまなくチェックしていた時代は遠い過去のものになってしまったわけだけど、今年のマイ・リストはあの雑誌がまだちゃんとした意見を持ち、わくわくするような発見をもたらしてくれていた時代に捧げようと思う。 (Captain)
******************************************************************************************************************
Dirty Projectors /Rise Above(Dead Oceans)アート・ロックに幸あれ!――というわけで、このレコードは大胆不敵で野心的なそのコンセプトはもちろんのこと、ハードコア・パンクの古典を実にソウルフルな解釈で見事ノイズ・ポップの傑作に再生させたという意味で、ダントツのアルバム・オブ・ジ・イヤーにふさわしい。
Shellac/Excellent Italian Greyhound(Touch&Go)
少しずつ進化しながら、しかし根っこの部分では何一つ変わらないシェラック。アングラ界のご意見番アルビニがまたしても放ってくれた、「正しいあり方」。
Yeasayer/All Hour Cymbals(We Are Free)
フリートウッド・マックの「牙」は隠れた傑作であり、今の若いミュージシャンに大きな影響を与えている――という論が嘘だと思うなら、アクロン・ファミリーを聴いてみてほしい。だが、アクロン以上にあの作品をきっちり消化吸収し、今の時代にふさわしいものに書き換えたのはイェーセイヤーだろう。
Burial/Untrue(Hyper Dub)
階級システムに向かって発された、現代イギリス像。
Celebration/Modern Tribe(4AD)
時に華美で大仰なところもあるが、この作品はソウルフルなコアとクラシックなポップ性の両面をしっかり打ち出している。
Bill Callahan/Woke on a Whaleheart(Drag City)
幸せな恋愛関係をエンジョイしているビル・キャラハン・・・という図は長年のファンにはなかなかしっくりこないものだけど、以前に較べてずっと楽観的なムードを感じさせつつ、やはり持ち前のねじれた世界観は保たれている。声と歌詞に関して、彼に匹敵するアクトはいない。
Panda Bear/Person Pitch(Paw Tracks)
アニマル・コレクティヴの作品を越えてしまったのが、ノアのセカンドLP。子供のようなあどけなさを放つこのミニマルなララバイ集、ブライアン・ウィルソンやアーサー・ラッセルと並べて聴いてほしい。
Shape of Broad Minds/Craft of the Lost Art(Lex)
マルチな才能の持ち主:ジュネイロ・ジェレルが作り上げた、スペース・ラップ版「四重人格」。
Voice of the Seven Woods/S.T(Twisted Nerve)
ずば抜けたEPリリースの数々を経て、シックス・オーガンズ・オブ・アドミッタンスのイギリスからの回答=VOTSWが遂に放ったフル・アルバム。今後に期待が高まる、いい滑り出しの作品。
Adrian Orange and Her Band/S.T(K)
アフリカ70をバックに、ジョナサン・リッチマンが歌っている=グレイト。
Phosphorescent/Pride(Dead Oceans)
グリズリー・ベアの「Yellow House」が恋しい今年ではあったけれど、そんなマイ・モーニング・ジャケット的スペイシー・アメリカーナを求める向きはこの作品をチェックされたし。
Stars of the Lid/And Their Refinement Of The Decline(Kranky)
現代的に解釈された瞑想型クラシック音楽の傑作。人間の感覚を掘り下げると同時に、そこからの逃避も与えてくれる作品。
Growing/Vision Swim(Troubleman Unlimited)
ギターでイマジネーション豊かなサウンド・スケープを生み出す孤高のアクトによる、素晴らしいアート・ロック。
Odawas/Raven and the White Night(Jagjaguwar)
パールズ・ビフォア・スワインを彷彿させる、アメリカン・ゴシック作品。
Turbo Fruits/S.T(Ecstatic Peace)
痛快なバズ・ポップを鳴らすこの知的な3人組の手で、CBGB流ガレージ・サウンドにモダンなツヤが加わった。
Graham Mushnik/A Distant Wildlife(Catapulte)
不気味なお化け屋敷を思わせる、インスト・ビート・ミュージック。
Motor Ghost/A Gold Chain Around Her Breast(Wayang)
UKサイケデリアにコメッツ・オン・ファイアとクリス・コルサノの爆発力が加わったとでもいうべき、隠れた名盤。ライヴも最高。
Bullion/Pet Sounds in the Key of Dee(net mix)
西ロンドン発の宅録オタクが、Jディラばりのアブストラクト・ビーツを〝ティーンエイジ・シンフォニー・トゥ・ゴッド〟に混ぜ込んだ野心作。聴き始めは地味ながら、デンジャーマウスの「グレイ・アルバム」をしのぐ内容になっている。
Subtle/Yell and Ice(Lex)
アダム〝ダズワン〟・ドラッカーの天才としか言いようがない奇妙でアブストラクトなラップを、サトルの盟友達(ウルフパレード、ドッシュ、ブラッケンのメンバーらが参加)と共に「作り変えた」とでもいうべきリミックス集。TVオン・ザ・レディオのトゥンデを迎えてのエネルギッシュな「Deathful」が、やはり圧巻。
Barr/Summary(5RC)
パフォーマンス・アーティストが作り上げたエキサイティングな1枚。ポスト・モダンなロックとスポークン・ワードが噛み合ったこの作品を聴いていると、ルー・リードももっとこういう作品を作ってくれたら、と感じずにいられない。
Grails/Burning off Impurities(Temporary Residence Limited)
ポスト・ロックは今や下火になってしまったが、この素晴らしい作品でグレイルズはまだあのジャンルにも可能性があることを証明してくれた。
Ignatz/Ignatz 2(K-RAA-K)
世界の終わりに鳴る、荒廃のブルーズ。
The Besnard Lakes/The Besnard Lakes Are the Dark Horse(Jagjaguwar)
この作品をグリズリー・ベア、イェーセイヤーと交互に聴いていると、アメリカの不思議な光景がワイド・スクリーンで脳裏に浮かんでくる。パワー・コードを組み込んで蘇生させられたヴァン・ダイク・パークス。
The One Ensemble/Wayward the Fourth(Secret Eye)
バロック音楽調のストリングスと、フォークロアの神秘性がたっぷり詰まった作品。誰も知らないカルト映画のサントラにぴったりかも。
Fiery Furnaces/Widow City(Thrill Jockey)
エレナー&マシューの兄妹デュオによる、これまででもっとも完成度の高いソング・サイクル。と同時に、デビュー・アルバム以来の高いポップ値を誇る1枚になった。
William D Drake/Briny Hooves(sheBear)
カーディアックスの大黒柱によるこの作品は、ジョン・ケイルが名作「Paris1919」の次に作っていてもおかしくないような素晴らしい出来。
Exploding Star Orchestra/We Are All From Somewhere Else(Thrill Jockey)
この野心的なジャズ・アルバムには、ミンガスやサン・ラを始めとするきら星のごとき偉人達からの影響が鳴り響いている。
Map of Africa/S.T(Whatever We Want)
ザ・イークォルズのカヴァーでキック・オフするアルバムが2007年にリリースされたら、それはどれも一聴の価値があるということ。ブルー・アイド・ソウルからユーロ・ロックまで飲み込んで突き進むこのグローバルなレコードは、しかしそのすべてにモダンなひねりが加わっている。
Animal Collective/Strawberry Jam(Domino)
アニマル・コレクティヴの6作目は、ある意味欲張りすぎだったと言える。しかし、繰り返し聴くことで姿を現してくる繊細な音の層のおかげで、この作品は聴き手を何度でも呼び戻し、その評価を変えていく作品になると思う。
●7インチ・シングル
Vampire Weekend/A-Punk/Cape Cod Kwassa Kwassa(Free News)
これに尽きる。
| M | T | W | T | F | S | S |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 01 | 02 | |||||
| 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 |
| 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
| 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
| 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
| 31 | ||||||