Disc

08/11/18|Grace Jones
Hurricane(Wall of Sound)
08/11/12|Deerhunter
Microcastle(4AD)
08/10/29|Department of Eagles
In Ear Park(4AD)
08/10/13|Fucked Up
The Chemistry of Common Life(Matador)
08/10/02|TV On The Radio
Dear Science(4AD)
08/09/29|Arthur Russell
Wild Combination--a portrait of Arthur Russell
08/09/27|Jaguar Love
Take Me To The Sea(Matador)
08/09/07|Sunken Treasure Vol.3
Nico/The End(1974)
08/08/24|The Week That Was
The Week That Was(Memphis Industries)
08/08/12|The Hold Steady
Stay Positive(Rough Trade)
08/07/29|Born Ruffians/White Denim
Red,Yellow and Blue(Wrap)/Working Holiday(Full Time Hobby)
08/07/25|54-71
I'm not fine, thank you. And you?(contrarede)
08/07/23|Beck
Modern Guilt(XL)
08/07/15|Pendulum
In Silico(WEA)
08/07/11|Shearwater
Rook(Matador)
08/06/23|Weezer
Weezer aka Red Album (DGC/Interscope)
08/06/14|Portishead
Third(Mercury)
08/06/01|Nick Cave & The Bad Seeds
Dig, Lazarus, Dig!!! (Mute)
08/05/31|Gnarls Barkley
The Odd Couple(Downtown/Atlantic)
08/04/30|Neon Neon
Stainless Style(Lex Records)
08/04/12|Kelley Stoltz
Circular Sounds(Sub Pop)
08/04/07|Bumper Review 4
The Kills
08/04/07|Bumper Review 3
These New Puritans
08/04/04|Bumper Review 2
Lightspeed Champion
08/04/04|Bumper Review 1
Sons and Daughters
08/04/01|Fuck Buttons
Street Horrrsing(ATP Recordings)
08/03/25|The Gutter Twins
Saturnalia(Sub Pop)
08/03/19|Bobb Trimble
Iron Curtain Innocene/Harvest of Dreams(Secretly Canadian)
08/03/04|Vampire Weekend
Vampire Weekend(XL Recordings)
08/02/26|School of Language
Sea From Shore(Memphis Industries)

2008/04/12

Kelley Stoltz

Circular Sounds(Sub Pop)

以前からその傾向はあったものの、近頃のサブ・ポップはノスタルジックなインディ・ポップ作のリリースが多い気がする。バンド・オブ・ホーシズ、ブリッツェン・トラッパー、タイニー・ヴァイパーズ、フリート・フォクシズ・・・(どれも好き・・・)。サウンド・ガーデン、ニルヴァーナやTAD、マッドハニーの頃からもう20年経ったんだからそれも不思議はないし、エリック・マシューズやザンパノなどポップ・アクトも常にロースターに顔を並べてきたこの多彩なレーベル、グランジ・イメージの一筋縄で語るつもりは毛頭ございません(一方でピスト・ジーンズやノー・エイジといった暴れん坊の作品もしっかり出してるしね)。しかしニック・ハーコートあるいはジョシュ・シュウォーツ効果(?)とでもいうか、映画サントラや人気テレビ・ドラマ、CMソング起用がきっかけで「チューン」がヒット→商業ラジオ局でOAされにくいマニアックなアクトに突如日が当たりたちまちインディっ子のアイドルにというケースが過去数年続いているのは、世界的なアルバム売り上げ低下~CDセールス不振といった現状のもとこうした一種のタイアップはアメリカのバンド/アーティストにとって有効な露出ツールのひとつになったということ。ザ・シンズを例に上げるまでもないけれど、フランネルを着たグランジャーの絶叫だのノイジーなオルタナ・ロック・ギターよりも(映像の邪魔にならない)デリケートなアコースティック・ポップやフォーク・カントリーの方が多岐にマーケティングしやすいわけで、老舗サブ・ポップもそんな時代の流れに即して若干シフト・チェンジしているのかもしれない。

デトロイトを経て近年はサンフランシスコを拠点に活動、2005年からサブ・ポップに在籍中のシンガー・ソングライター、ケリー・ストルツもそんな「ポップ寄り」Subterranean Poppersのひとりと言える。しかし彼が他の連中と一味違うのは、そのメロディや音作りのセンスにアメリカン・ロック(ボブ・ディラン、ニール・ヤング等)よりもむしろ英国調が強く香るからだろう。ジャケ写のスタ・プレスのスラックス姿&レトロなデザインから受ける印象を裏切らず、オリジナル・アルバムとしては4作目になるこの作品は60年代ブリティッシュ・ロックとアメリカン・ポップス(というかブライアン・ウィルソン)の粋を丁寧に編み上げたごときスウィートな音の綴れ折りを響かせてくれる。ピアノのリズミックなトーンにビーチ・ボーイズが残響する「Everything Begins」で鮮やかに幕を開け、続いて次々に飛び出すのは「Village Green」「Lola」「Muswell」あたりのレイ・デイヴィスの作風を彷彿させるユーモアとメランコリー入り混じるジェントルなメロディ・・・たまりません!エレファント6勢も顔負けのドリーミィな音作りやチェンバー・ポップ・アレンジ(ジューイッシュ・ハープまで登場)からはもちろん中期ビートルズへの愛が伝わってくるけれど、アップルズやオリヴィア・トレマー・コントロールがややもすると歯にくっつくキャラメルのように甘くなりがちなところを、ホーン・セクションやベース・ラインのいなたいR&B~カントリー・ソウル・グルーヴでピシリと締めることで1曲1曲密度の濃いポップ・チューンとして成立させているのもいい。(先行シングル・カットされた「Your Reverie」はその好例の優れた曲)。モッズィーなアングロファイル音を今のアーティストが敢えてやる際にクリシェを遊ぶユーモアは不可欠なわけだけど、楽屋落ち/暴走(それはそれで愛すべきものなんだけどね)になる前に自制するポイントを見極められる人みたいです。
アメリカン味とブリティッシュ味の絶妙なバランスおよび質の高いソングライティング、アナログの柔らかさを知り尽くした美しいミックス(ケリー・ストルツ本人とバンド・メンバー自ら担当。アルバム・タイトル通り「まあるい」サウンドで、すべての音をマックスにすることでニュアンスが損なわれがちな最近のポップ・ミュージックとは違うベクトルです)はこの作品を――決して派手ではないものの――何度も聴き返せる奥行きのあるポップ・ジェムにしている。ベッドルームでの8トラック宅録ローファイ時代に自主リリースでアルバム・デビュー(99年)、サブ・ポップからのファースト・アルバムになった前作「Below The Branches」(06年)でやっとバンドとスタジオに入るようになったという基本マルチ・インストゥルメンタリストであるケリー・ストルツは、たとえばジェイソン・フォークナー、ジョン・ブライオン、ブレンダン・ベンソン(デトロイトで同郷。恐らくそれが縁で、ラカンターズのファースト・アルバム期ツアー前座を担当することにもなったのだろう)と言ったひとりUSポップ職人の系列に並ぶ人だと思う。クラフツマンだけにクラシック・ロックへの愛情と理解が相当なもの(エコー&ザ・バニーメン「Crocodiles」を8トラックでカヴァーしたアルバムまで作ったことがあるそうだから、かなりのオタク。中古レコード屋でバイトしてもいるらしいぞ)なのは本作からも一聴瞭然ながら、「○○っぽい」「△△△に似ている」の域を越えてこの作品には彼ならではの世界がしっかり脈打っていると思う。初期のガレージ調なシンプルな音作りを経てこの麗しいサウンド・スケープを少しずつ発展させてきたという、いわば遅咲きのアーティスト。ジェイソンやブレンダンほどのスター性/パワー・ポップ・ファンにアピールするクランチーな打ち出しこそ弱いかもしれないけど、ポップ愛好家の皆さんにぜひトライしてもらいたい作品です。

ケリー・ストルツのサブ・ポップ公式ページはこちら

ケリー・ストルツを脱兎チェック!


2008/04

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