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Foals

Foals

New Sound for Modern People

昨年Transgressiveからリリースされたシングル「Hummer」で注目を浴び、UKパンク・ファンクの気鋭として〝08年ブレイク必至!〟の太鼓判を各方面から押されまくってきたオックスフォード発のガリ勉ちゃん5人組ことフォールズファンの家でのライヴなどハプニング型ギグを行なう一方英フェスにも出演、インタラクティヴ性が話題の新波人気テレビ・ドラマ「Skins」登場、年末にはブロック・パーティーUKツアー前座・・・とアングラとメジャーのいわば美味しいところを欲張りに両方かっさらってきた彼らだが、ファースト・フル・アルバム「Antidotes」はUSエモ/ハードコア~音響系~マス・ロックの影響(マニアックからポップまで、メンバーの趣味は一概に特定できないほど広いんですけどね)が色濃いストイックかつ緻密なサウンド構築で酔わせる麗しい作品になった。アルバム・リリース前から盛り上がったバズのおかげで期待値=ハードルが高くなり、序盤で息切れ・・・というパターンはそれこそ週代わりで「ホットなバンド」が入れ替わるイギリス(きっちりツアーしないと都市部以外は認知されないアメリカよりも、いい意味でも悪い意味でもターンオーバーが早いっす)のバンドには珍しくないが、デイヴィッド・シーテック(TVオン・ザ・レディオ)をプロデュースに迎えゲストにアンチバラス他も参加したこのアルバム、①②③⑥といったダンサブルで掴みのいいポップから後半⑨⑩の空間性まで、新人バンドらしからぬ奥行きと重層性を作り出している。それだけに「ああ、イギリスの若手インディ・バンドね~」とイージーに一緒くたにしてほしくないと感じるし、筆者がフォールズに対して常々抱いてきた「グラストンベリーよりもATPで見かけそうだな、この子達」という思い――もちろん出演者としてではなく、いち観客としてですが――を証明するようなこの作品、近年のUSインディ・アクトが誇る圧倒的なイマジネーション、ヴァイタリティを吸収し自分達のコンテクストに消化しようとするイギリスの新世代(→ATPはイギリスのフェスとは思えないくらい異様にUS勢の比重が高いです)の登場として見守ってあげてほしいものです。もっとも、昨年夏にレコーディングされたこのアルバムからバンドは著しく前進しているだろうし、5月14日から始まる初来日公演でその現在地&暴れっぷりをしっかと目撃いただきたい。ライヴは魅せる連中ですよ!というわけで、UKアルバム・チャート初登場3位という好成績に天狗になることなく出る釘として今後も異色ぶりを貫いていっていただきたいフォールズ、バンド一の論客にして鼻っ柱も強そう(笑)&ロバート・スミス似の歌声が個性的&知的なウィットも充分なアート・ロッカー=ヤニス(Vo&G/ギリシャ系の名前が素敵)に直撃しました。

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――フォールズは3年ほど前結成されたわけですけど、バイオによれば「もっとやってて楽しい音楽を」とシフト・チェンジしたみたいですね。普通は楽しみから始まって徐々にシリアスなものへ進んでいくと思いますが、なぜあなた達の場合は逆だったんでしょう?「バンドはこうあるべき」みたいなイデオロギーにとらわれていた?
俺達が付き合ってたバンド仲間って、もっと真面目でアヴァンギャルドなタイプだったんだよね。パーティでも長い曲とかインストを演奏するみたいな連中が多かったし、俺達も以前のバンドではそういう音楽をやっていたんだけど、だんだんそうじゃない方向に向かっていったっていう。色んなものを聴くけど、普段はインストとかノイズ系の音楽をよく聴いてるよ。
――オックスフォードといえばライド、レディオヘッド、スーパーグラスのイメージがいまだ強いんですが・・・
マジ~?(爆笑)
――(笑)そこでアップデートをお願いしたいんですけど、今のシーンはどんな感じ?バンドはたくさん活動している?
うん、バンドはたくさんいるし、小さなシーンだけどコマーシャリズムに毒されない音楽をやってる連中は多い。それにアーティストも多いから、俺達のアート・ワークを全部やってくれてるティンヘッドみたいに、コラボレーションがしやすいんだ。
――それはオックスフォードが学生の町だからというのも関係している?学生はメディアからのお仕着せではなく自分達の手で音楽やアートを見つけていきたい、という気質が強いと思うけど?
それはその通りだね。でも、オックスフォードの今の音楽シーンは大学とは関係ないところで活動している感じだよ。シーンとしては小さいし。
――オックスフォードのバンドにとって、気軽に行ける距離にあるロンドンの音楽シーンはどう見えているんでしょう。
っていうか、俺達ロンドンに住んでないし!まあ・・・別にあれはあれでいいし、こっちはどうとも思ってないっていうか。オックスフォードはロンドンみたいに騒がしくないし、こぢんまりした町だしね。それに、ロンドンってファッションで徒党を組むっぽいところがあるじゃない?あれには共感できない。
――あなた達のソングライティングは簡潔で贅肉や無駄がないですよね。フランツ・フェルディナンドはデビュー期にバウハウスやロシア前衛派をモチーフにしていたわけですが、あなた達のソングライティングにおけるモットー、美学といったら?
んー、ミニマリズムってことになるんだろうね。スティーヴ・ライヒなんかの音楽に強く影響されたんだけど、俺達は音を大事にしたいんだよ。今って本当にものが色々と多いし、マス・カルチャーが浸透してる。部屋に色んなものが転がってる、みたいに雑然とした状況だと物事の真価が分からなくなっちゃうんじゃないかな?今日ニューヨークで今年初めて雪を見たんだけど、めちゃめちゃ嬉しくて。それがもしも毎日雪に囲まれてたら、「あー、いつもの雪の日か・・・」ってことになって、その美しさを味わうことができないと思う。だから無駄を省いてエレメントにまで持っていくこと、そこが俺達のポイントなんだ。
――歌詞は意識の流れを辿ったようにシュールなもので、いわゆる一般的な「ストーリーテリング」からは解放されていますよね。常に音楽ありきで歌詞が後から生まれるのかなと感じましたが、いかがでしょう。
歌詞はいつも最後だよ。でもこのアルバムのために書いた歌詞は、過去10年くらい俺が書き溜めてきたアイデアから生まれたものなんだ。13歳頃からかな?ノートに書き連ねてきた様々なイメージの中から選んであるんだけど、すごく映像的なもので、それがベースになってる。でも、ランダムに思えてもアルバムには一種のテーマ、逃避、現状の否定といったモチーフが感じられると思うけどね。俺はみんなの頭の中にイメージを描きたいんだ。俺達はアルバムの中で歌声を・・・そうだな、誰かの頭の中で響いている声、そんな風に作ろうとしたんだけど、この音楽を聴いている45分の間、リスナーの頭の中に映像を投影していきたいんだ。サウンドにしてもそうで、昆虫が頭の中をカサコソ動き回ってるような、そんな感じにしたかった。
――ストーリーテリングに重点を置いていない、という意味であなた達は恐らく映画音楽やダンス・ミュージックの持つピュアで本能的な反応を聴き手の中に生みたいのかな?と思うのですが、たとえば自分の身の周りの出来事や体験をシェアしてコミュニケートしたいとは思わない?
そういうのは興味ない。もちろん聴き手とコミュニケートしようとしているんだけど、俺達の場合はもっと普遍的で、誰にでも理解できるものにしたいと思ってるから。まあ、最近のイギリスには「イギリスのスモール・タウンで暮らす人間の生き様」だの「ガールフレンドとうまくいかなくて~」みたいなことを書き綴ったものって割と多いんだけど・・・もちろんそれだってひとつの歌詞の書き方だし、否定するつもりはないよ。ただ、俺からするとそれって本当なの?リアルなの?みたいな。すごく限られた視点だし、今のイギリスは実際もうそんな状況じゃない。これだけインターネットが発達して情報の行き来も盛んになって、格安航空券のおかげで世界中手軽に回れる多文化な時代なのに、まだ昔のイギリス像にしがみついてるの?みたいな。だって、もうそんなもの存在しないんだから。60年代のモッズ風な格好して、リバプールがどうしたとか、親の世代の音楽を聴いてるとか・・・ファッションくさいし、一種の空想というか、セピア色の写真を眺めてるようなもんで、俺にはそんなのリアルに思えない。バンドやってる奴で、何を聴いてきたの?って訊かれると親のレコード・コレクションを聴き漁ってきた、みたいな回答をする連中がいるけど、そういうことを言う奴の音楽は俺は信じられない。だって、親の世代と仲良くやっていく、なんてありえないよ。既に出来上がったものに対して歯向かっていかなくちゃ。
――あなた達世代のキッズの中には「親の世代みたいになりたくない」という風潮があると思う?
それは間違いなくある。ネットやiPodのおかげでこれだけ色んな音楽に触れることができるのに、なんで特定のある種の音楽にしがみついてるのか、俺には分かんないな。今のシーンにしても、あらゆる時代の音楽が聴かれ、また生まれてるけど、もっと現実を反映させた音楽があっていいと思うし、俺達は特定の人間に対して音楽を作っているわけじゃないから。さっきも言ったけど、聴き手を限定したくないんだ。世界中のすべての人間に向かって曲を書いてるつもりだし、だから物語りじゃなくイメージの連発みたいな歌詞にしてるんだよ。たとえば俺の撮影した100枚のスナップ写真、風景写真だとか色んなイメージを次々に人々の頭の中にダイレクトに映写していく、そんな感じかな。もちろんそこで俺自身の物語を描くこともできるけど、それだと「マイ・アルバム」になっちゃう。俺はむしろランダムなイメージや言葉を使ってたくさんの人々が自分の連想や解釈を抱けるものにしたい。そうやって人々の頭を45分間刺激したいんだ。
――「解毒剤」ってアルバム・タイトルですが、まさに注射器を脳に注入、みたいな。
はっはっはっは!その通り、いいね、そのイメージ気に入ったよ。
――それにまあ、たとえば宇宙人に出くわしたとして、たぶんフォールズの音楽を聴かせた方がコテコテのブリティッシュ・ロックより理解される気もします。
(爆笑)だね、俺達、地球外の生物のために音楽作ってるし!・・・ハハハ、だからまあ、それだけ普遍的なものを作りたいんだよ。ライヴの時お客に向かって演奏しないで自分達で向かい合って演奏するのもそれで、バンドの面々をみんなが崇めて見守る~、みたいなヒエラルキーに全然興味ない。ほんと、俺達ステージの上で戦ってるようなもんだから。
――ブライアン・イーノやスティーヴ・アルビニのように妥協なしで個性的なレコーディング・アーティストであるデイヴィッド・シーテックにプロデュースを依頼した理由、また彼がフォールズ・サウンドにもたらしたものを教えてください。
彼は・・・電話で話したのがきっかけだったんだ。その時「ツヤツヤ磨き上げられたポップ・レコードを作りたいんなら、俺とはやらない方がいいよ」ってバッサリ言われて、それを聞いた瞬間「ぜひやらせてください!」って即答した。ほんと、俺達にとっちゃ父親のような存在だな。彼のニューヨークのスタジオに入ってレコーディングしたんだけど、ほんともう一種の拳闘試合、戦いみたいな感じだったっていう。デイヴィッドは本当に知的で素晴らしい人だけど、何より俺達にマルチ・カルチャリズムな音楽を目指せってハッパをかけてくれたんだ。多文化の今の時代に即した音楽をって風にがんがん仕向けてくれたし、だからアルバムにもその要素が強まったんだよ。それに彼は、俺達に自分達の信じていることは貫き通せ、と励ましてもくれたね。自分達を信じろ、と。
――様々な音が重ねられているにも関わらず、ギター・サウンドは基本的にクリアーで濁りがないですよね。これはなぜ?
どうしてああいう音かってこと?んー、シンプルに留めておきたいし、ペダルもほとんど使ってない。たとえばでっかい音を出しゃいいだとかディストーション・ペダルを一発踏めばOKみたいなバンドもいるけど、それだとニュアンスが消えちゃうでしょ。ミニマリズムの考え方と同じで、ごちゃごちゃ飾らなくても大丈夫ってことなんだ。
――あなた達のライヴを昨年Truck Festivalで観たんですが、あの時暴動一歩直前の危ない雰囲気になりましたよね。
うんうん。
――あなた達の何がオーディエンスをクレイジーかつ向こう見ずにさせるんだと思う?
うーん、でも自分達のライヴは自分じゃ観たことがないからなんとも言えない。ふー・・・分かんないな、ほんと。でも、お客がああいう雰囲気になるのは俺は好きだな。やっぱりライヴはエネルギッシュなものにしたいから。暴れて歯が欠けるような勢いのライヴね。うん、俺達のライヴに来たお客は1、2本歯をなくして帰る!ってことで。
――なんのこっちゃ(笑)。でも、ライヴの爆発ぶりに較べてアルバムの音作りはやや抑え目だな、なんで?とも思ったんですが?
いや、あれは意図的にやったことだったし。俺達はああいうレコードを作りたかったし、雰囲気のある作品にしたかった。それに、ライヴと盤は別物だしね。レコードとまったく同じものをステージで再現するなんて意味ないと思う。そんなの退屈だし、俺達集中力も長続きしないからさ。だから、ライヴと盤はまったく別物と思ってほしい。
――それって、たとえばすごくモダンなテクノロジーや知性と、まったく逆のプリミティヴな・・・それこそイギー&ザ・ストゥージズみたいな野蛮性、太古の人間みたいな面の双方を持ちたいと?
うんうん、まさにその通り。俺達はライヴでは原始的になりたいんだ。
――今のバンドで、あなた達が共感できるバンドを(国籍問わず)教えてください。
ライアーズ、TVオン・ザ・レディオ、レ・サヴィ・ファヴあたりかな。バトルズももちろん好きだし、最近ではヴァンパイア・ウィークエンドが気に入ってる。
――なるほど。で、日本公演もそろそろ決まりそうですが。
頭がぶっ飛ばされる経験になるだろうね!
――日本は初めてですよね。楽しみ?
ああ、もちろん。だからさ・・・とどのつまり、俺達オックスフォードから出て来た20代前半の若僧バンドなわけで、世界を回って色んなものを見て吸収したいんだよ。そこでショックを受けたいんだ。驚かされたいし、色んなものを体験したい。たとえば、今日俺は血を吐いたんだ。
――へえ??
歯を傷めてて出血してるんだけど、血をニューヨークの雪の上に吐き出したのはほんと気持ちよかったー。血痕が雪の上に転々と残ってね・・・いい感じだったよ。
――(笑)。
まあ、きちんと歯を磨けってことなんだろうけどね。
――・・・磨こうよ。

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