12月のポーティスヘッド以来!しかも今回は古巣Camber Sandsに戻っての開催だ!・・・ということで、3人のルーム・メイト(ご存知の方も多いと思うが、このフェスは「シャレー」と呼ばれる宿泊施設付き。文字通り「3日間インディ強化合宿」なのだ)と共に指折り数えて待っていた今回のAll Tomorrow’s Parties。なぜMineheadではなくCamberに今回だけ戻ったのかその理由は不明だったが、古臭くても多少不便でも、やはりCamberのこぢんまりしたアット・ホーム感はいい。フェスというより、コミュニティという感覚が確実に流れていると思う。キュレーターはUSオンライン・マガジンの猛者にして日本でも音楽ファンにはおなじみのピッチフォークだけに出演ラインナップも注目新人からベテランまでなかなか充実していたし(翌週行なわれたエクスプロージョンズ・イン・ザ・スカイの内容も秀逸だったが、比較検討した結果やはりミート・パペッツとセバドーは逃せないという結論に達しました)、何より新鮮だったのは筆者がこれまで体験してきたATPの中でもベストな天候に恵まれたこと。参加者も常以上にリラックスしていたし、一足早いサマー・フェス・モードを満喫していたように思う。まあ、冷房という概念が基本的に希薄な国だけに場内サウナ状態で死にそうになる場面もあったけどね・・・。
とはいえ初日の道中は波乱含み。徹夜仕事の連続がたたり、参加メンバーの1人があわや脱落~~?というくらい待ち合わせに大遅刻。受付でリストバンドを入手した頃にはメインステージ2番手:ヴァンパイア・ウィークエンドが既にセットの半分くらいを消化していて、ベソをかきながら会場に駆け込む。日中27度近くまで気温が上昇しただけにすべての窓を黒幕で覆った場内はただならぬ暑さだが、彼らのダンサブルなリズムと軽快なギター、シャープな演奏と「One」でのコール・アンド・レスポンスなどラヴリー&ハッピーな雰囲気に不快指数も一気に急落。夏の解放的な気分がよく似合うサウンドに、08年のマイ・サマーをキック・オフしてもらった気がした。
宿舎で荷物を整理し、急いでとって返して再始動セバドー!ロンドンでの「Don‘t Look Back」(『Bubble&Scrape』を全曲演奏)を始め、4月末以来UK/欧州公演をこなしてきた後だからだろうか、ルー、ジェイソン、エリックの演奏は実にパワフル&エクスプロージヴで若々しく、『SebadohⅢ』の曲などもいまだにフレッシュに響く。本人自身心から楽しそうにのりのりでプレイしている様には胸打たれたし(ダイナソーの時とはやっぱり違うなあ)、セバドーの枯れた泣きのあるギター・ポップは不滅。友人達とリクエストした「Rebound」をプレイしてくれなかったのは残念だったけど、贅沢は言うまい。
階下のセカンド・ステージでは、ATPが運営するレーベルからアルバム・デビューを果たしたブリストル出身の2人組ファック・ボタンズが熱演開始。ここのところ上昇している人気を反映して、かなりの人込みだ。おのおの小型のトランクに詰めた機材を机の上に乗せ、向き合ったメンバーがスペクトラムなノイズ+クラウト・ビートの暴風雨を黙々と作り出していく様はやはり盛り上がる――のだが、以前観た時とそんなに変化がない内容だったのでそこそこにして切り上げ、この日のメインのトリ=ウィーンと8年ぶりの再会を果たすことにする。キャリアが長いとはいえタイム・テーブルに「9PM-12AM」と書いてあるのはさすがにミスプリ?とも思ったのだが、マジに3時間マラソンだった・・・(ATPでこれだけ長いステージを披露したのは、他はマーズ・ヴォルタだけではないだろうか)。さすがに体力が尽きてきて1時間観戦が限度だったけれど、ヘヴィ・メタルとジャズ・ロックがエネルギッシュにミクスチャーされ、しかもメロディは癖になるほどポップ!というウィーンの変態な魅力はまったく衰えていない。アイデアが面白いとかセンスが斬新とかヒップで若者に人気だとか色~んなバンドが登場するATPだけど、アートやインディ、アヴァンギャルドに偏ることなく本当の意味で「上手い」プロなバンドでありエンターテイナーであるウィーンみたいな連中もブッキングしてくれるところが、やはりこのフェスの良さだなあ・・・と、ノリノリのウィーン・ファン連中(→男ばっか)と歓声を上げながら改めて思った。この後にもレッド・クロス、グラス・キャンディ、ホット・チップ(DJセット)などが控えていたのだが、今回のメインである土日に向けて体力を温存すべく早めに宿舎に戻ったのだった。
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