2日目も雲ひとつない青空と太陽が頭上から「おはよう」と迎えてくれる。コーヒーを淹れながら宿舎の窓から外を見やると、牧草を食む羊達もさすがにこの気温の中、厚いウールの上着にうめいているようだ・・・(と、クサい旅行随筆風な書き出しにしてみました)。ATPTV(各宿舎備え付けのテレビの2チャンネルを使い、ATPとピッチフォークがセレクトした映画やドキュメンタリー、コメディなどを24時間ケーブル局風にOAしている。イアン・スヴェノニアスの「Soft Focus」ケヴィン・シールズ編が一番面白かった)で「JAWS」を観ながらダラダラした後、最寄のスモール・タウン、キャンバー探索にみんなで出発。しかし驚いたのが、フェスのサイトを出るや我々とは逆方向=キャンバー・サンズ(美しい砂浜ゆえにこの名前)に向かう車の渋滞が長~~く続いていたこと。これだけの天気で土曜とくれば、ロンドンから家族連れがわんさか海辺にやって来るわけです。キャンバーはおっとりオールド・ファッションなイギリスの田舎町で、レンガよりも石造りの家が多くてちょっとスコットランドっぽい。ティー・ルームだのレトロな駄菓子屋だの、うちの母親が見たら喜びそうだなあ・・・と思いつつランチを終わらせ、1軒だけぽつんとあった中古レコード屋をチェックして宿舎に戻ることに。
オーディエンスの多くもビーチに繰り出したり外の芝生でのんびり飲んだりしているが、マタドールが送り出す新人タイムス・ニュー・ヴァイキングは(午後早い時間帯にも拘らず)かなりの集客。ガイデッド・バイ・ヴォイセズとジョナサン・リッチマンがパンクにジャムっているような元気いっぱいの演奏で、2日目のいい幕開けになりました。今回一番楽しみだったアクトのひとつ、売り出し中のニューカマーSSWボン・イヴァーはマット・ウォードをより素朴にしたような穏やかな歌声とひなびた演奏(バスドラ・スネア・シンバルのみと、ドラムスも非常に簡素)が幽玄なハーモニーを醸し出し、いっとき暑さを忘れさせる静謐なひとときにじ~んわり。ウィスコンシンの山小屋でひとり曲を書いていたというこの人、聴いていると本当に森が見えてくるようだった。とはいえロッキンな曲ではニール・ヤングな表情も見せてくれたし、今後バンドがトリオから5人くらいに増える可能性もありそう。
再びセカンド・ステージに引き返し、ワープの注目新人ボーン・ラフィアンズ。カナダ出身のこの3人組、軽快に転がるビートといいギター・カッティングといいどれもピシッと引き締まっていて、ほんと小気味良いピリカラ山椒型バンド。「We Jam Econo」を実践しているパワー・トリオってのは、やっぱりいいもんですね。2、3ヶ月前に観たイェーセイヤーは果たして成長したかしらん?と確認がてらチェックしに行く。む、結構混んでいる。前回はネオ・ヒッピー的だったメンバーが全員短髪になり、ルックスも謎のブルックリン・ラッパー風情になっていて確かに変化は見られた・・・んだけど、うーん、やっぱりこのバンドはまだライヴに一体感やグループとしてのグルーヴ(シャレじゃありません)が足りないと思う。硬いっすよ!リンジー・バッキンガムが憑依したようなアルバムの内容はすごく好きなんだけどなあ。残念。ハウリン・レインの初期ディープ・パープル~ハンブル・パイ的クラシック・ヘヴィ・サイケをしばらく観て、これまた今回マイ必見アクトのひとつ:ダーティ・プロジェクターズ。エフェクターを一切使わないでこれだけ表情豊かなギター・サウンドを聴かせるバンドは珍しいし、デイヴィッドと女性ヴォーカル2名の織り成す緻密なカウンター・ハーモニーはやはりミラクルな美しさ。この日のベスト・トラックは、「Imagine It」の激しくエモーショナルな隆起と「Thirsty and Miserable」が発した揺らぎ/爆発の鋭利なコントラスト、デジ・ドラムが新鮮な新曲「Demecula Sun」。ニュー・アルバムが楽しみです。
後半戦はブラッドフォード・コックス率いるディアハンターから。1曲目はピンク・フロイド「Interstellar Overdrive」をもっとノイジーかつ攻撃的にしたようなスペース・ロックで、女性メンバーも混じる5人編成/ギター3本がバズーカのごとく噴き出す様に脳内にドーッと血流が駆け巡りました。この人知人の男性に似ているな・・・と思いつつ観ていたら、一見おとなしそうなそのブラッドさんがカマキリのような長身でモニター・アンプの上に立ち上がり、暴れ始めたのにはびっくり。ライヴの方が攻撃的でエキセントリックと聞いてはいたけど、想像以上でした。とはいえこのバンドのメロディは基本的にサッド&スウィートで、どこか子供のまま大きくなってしまった人間が作る音楽のような切なさ~無邪気さがあるのが良い。今夜の締めは昨年の「VS Fans」に続き2年連続登板の人気者パーティー番長、レイ・サヴィ・ファヴ。ティムさん今回はピンク・パンサーの着ぐるみ姿(→めちゃ暑そう・・・)で、相変らず唯我独尊なパフォーマンスに痺れる。電撃ショッカー・パンク・ロックのエッジーな速射砲がフロアをパンパン射抜く中、酔っ払ったキッズ達がひたすら踊り暴れまくる様は実に爽快。たぶんみんなあのままホット・チップをエンジョイしたのだろう。
宿舎に戻ってからは、羽目を外せる最後の晩=土曜日ってことで深夜のDJパーティーに突入。ターンテーブルとスピーカーを持参した知人がアナログを回す中、三々五々集まってきた友人とその友人達がお酒を酌み交わしながらノーザン・ソウルやサイケで盛り上がり、踊り始める。ふと気が付くととっくに3時を回っていて猛烈な眠気に襲われたが、あれ?あなた誰?いつからいました?という赤の他人が何人かソファーに座って雑談している。朝まで飲み倒れ・パーティー倒れは当たり前な若者がレコードを聴きつけて部屋に入り込んだみたいで、ちょっと目を離したうちにいつの間にかいなくなっていた。彼らはきっと音と人を求めて朝までさまようのだろうな。しかし一番おかしかったのが、朝4時にどこからともなく出没したさすらいの舞踏カルト集団(笑)。もちろんカルトというのは冗談だが、夜明けちょっと前の仄明るい宿舎ブロックの中庭に静々と現れた20人ほどの男女がリーダー(ポータブルのステレオもわざわざ持参)に合わせてアイドル・グループ風のダンスを繰り広げる様は、かなりシュールで笑えた。しかも1回ダンス・ルーティンが終わるごとにお辞儀して、また20メートルほど移動して同じことを繰り返す・・・というのもヘンで、カモメ達と共にみんなで呆然と見守ったのだった。前々回は鍋カマ・フライパンをチャカポコ鳴らしながら朝まで宿舎の敷地を行進していた一群もいたし、フェス・ピーポーって変わったことを思いつくもんですね。
| M | T | W | T | F | S | S |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 01 | 02 | 03 | 04 | |||
| 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 |
| 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
| 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
| 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | |