紳士のためのクローム・エレガンスな走り(笑)、遂にロンドン上陸~というわけで、SFAグリフとブーム・ビップによる「スーパーカー・コンセプト・ユニット」= ネオン・ネオンのロンドン公演に行って来た。ラグジャリー・カーの設計者として名を馳せたジョン・デロリアンの数奇な生涯(「彼は天才と狂気スレスレの人だった。車産業のブリトニー・スピアーズだったかもしれない」BYグリフ)を綴ったロック・オペラ(?)「Stainless Style」のリリースはちょっと前になるし、話題になったSXSWでのショウも3月・・・とはいえ、実はロンドンでのファン相手のプロパーなショウはこれが初という。お互い本業がある人達だけに、スケジュールの調整が難しいのだろうな。
このイベントはNNのリリース元であるLex Recordsのパーティでもあり、LexスタッフによるDJ、SBMの才人ジュネイロ・ジャレルの新ユニットWillies Iszのお披露目ギグなども盛り込まれての豪華版。しかし当初会場に予定されていた駐車場がライセンスが下りず使えなくなったそうで、急遽近所に会場変更。駐車場ってことは、もしかしてDMC-12に乗ってNNの面々が颯爽と登場するための演出~~?などと友人と冗談を交わしていたので、ちょっとがっくりしてしまった――がしかし、会場に着くと入口前にマジにデロリアン・カーが駐車されていてびっくり!(もしかしてジョン・テイラーから借りてきたのか?)ともあれ現物を拝むのは初めてなので、ライヴが始まっているにも関らずつい写真撮影に耽ってしまった。デザインそのものはGTOに似ているが、ステンレスの錆びないボディはなんともユニークで、不思議な存在感を放っている。男の子達が休み時間にミニカーだのスーパーカー・カードを見せっこし、児童雑誌にもランボルギーニの写真(カタカナにひらがなでルビが振ってある、あの雰囲気ね)が載っていた子供時代を思い出してつい懐かしくなってしまった。
Willie Iszはジュネイロとグッディー・モブのクージョによるディープ・サザン・タッグ。クージョのナールズ・バークレイ?なんてキャッチ・コピーも目にしていたけど、SBM同様生ギタリスト+ラップトップという布陣はシンプルだし、両者のコラボ「Opr8r」ほどの緻密なアーバンな雰囲気は薄く、トラックそのものもストイック&オールド・スクールだった。クージョの迫力ある低音ライムとポジティヴなヴァイブを振りまくジェネイロ(この人ほんとヴァイタリティあります)のコントラストもいいし、会場に集まったヒップホップ・ヘッズも腕を上げてノリ良く応戦していて楽しい。とはいえジュネイロ・ジャレルは音の錬金術師なので、レコードで聴くともっと奥行きのある凝ったものになるんじゃないかと思う。
メインのネオン・ネオンが登場する頃には場内も満杯。ここ数年続いている80年代レトロスペクティヴ~ダサ面白いノリはロンドンのキッズにまだ受けているというわけだが、単なるパロディではなくカルトなアイコンを発掘、それを中心に妄想の箱庭をアルバム1枚に作り上げてしまったグリフとブーム・ビップの想像力は大したものだと思う。ライヴのキャスティングも2名+ケイト・ル・ボン+ドラムス+ハー・マー・スーパースターの5人、アルバム1曲目から始まるセット・リストも先日のグラストンベリーと同じだったが、今回の目玉はバックのスクリーンに流れる映像。レイザー光線やレトロなコンピューター・グラフィック、車の設計図など楽曲のストーリーにマッチしたフィルムはコンセプトをがっちりバックアップしていたし、とりわけ「Raquel」でのラクウェル・ウェルチ・リミックス(時代とはいえ相当変な作品に出てましたね、この人・・・仮面ライダーの悪役もどき?な宇宙の女神ルックでのダンス・シークエンスは楽曲のビートともきっちりシンクロしていて、お客も爆笑)は抜群だった。
カシオのキーター(クールなブライアンちゃんはコルグ)、ギターと持ち替えつつスウィートなヴォーカルを聴かせ、オーディエンスの度を越した盛り上がりに戸惑い気味の笑顔を浮かべながら、しかしファンタジーを共有してもらえて嬉しそうなグリフはやはり素敵だ。無精ひげともじゃもじゃの髪でこれほど美しい男と言えば、他にはウェイン・コインくらいだわ・・・などとほんわかしたのもつかの間、ハー・マー・スーパースター様の登場(乱入?)で空気は一気にギア・アップ。ステージから落ちんばかりに迫ってくる彼に、最前列の客は歓声とも悲鳴ともつかない叫びを上げている。前回のライヴ評でも書いたが、この人のギトギト押しの強いキャラはNNの奇想天外なユーモアとコンセプトをステージに具現化する意味で不可欠。とはいえラップも達者な人だし狭いステージなのに今回もブレイク・ダンスを律儀に決め、パーカッションからキーボードまで演奏面も細かくサポートするなどやることはちゃんとやっている。ポチャ体型といい恥も外聞もないエンターテイナーぶりといい露出狂めいたところといい、「The Mighty Boosh」名脇役のひとり、(リッチ・ファルチャー演じる)ボブ・フォッシルに似てるなーと思っていたら、実際この前日開催されたBooshフェスティヴァルにもハー・マーは登場したとか。いつかあのふたりでMBシーズン3名場面のひとつ、「I Can‘t Go For That」(ホール&オーツ)ダンスをやってほしいものです。
グラストも良かったけど、音のいいクラブで視覚面での演出をふんだんに駆使しての今回は更に楽しめた。バンドの演奏も回を重ねるごとに成長しているし、「Michael Douglas」でバーストしたパーカッシヴなインスト・パートは無条件に盛り上がれるご機嫌なもので、この晩の個人的ハイライトだった。終演後も外にはデロリアン・カーが停めてあり、NNの面々が乗り込み去るまで待とうかとも思ったが、さすがに「レポマン」のラストみたいな光景は実現しないだろうから(笑)、そのまま帰ったのでした。
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