Live

08/11/15|Indian Jewerly/These Are Powers
13Nov2008/Barden's Bourdoir
08/11/14|Fleet Foxes
10Nov2008/Shepherds Bush Empire
08/11/07|Rolo Tomassi/Fucked Up
6Nov2008/Barfly
08/11/01|Release The Bats(ATP concert)
31Oct2008/The Forum
08/10/04|TV On The Radio
3October2008/Cargo
08/10/03|Iglu&Hartly
29Sep2008/Cargo
08/09/17|End of The Road Festival appendix
12-14September/2008 Larmer Tree Gardens
08/09/16|End of The Road Festival Day3
14Spetember/2008 Larmer Tree Gardens
08/09/16|End of The Road Festival Day2
13September/2008 Larmer Tree Gardens
08/09/16|End of The Road Festival Day1
12September/2008 Larmer Tree Gardens
08/09/10|Ponytail
4September/2008 Barden's Boudoir
08/09/09|Plush/The Autumn Defense
3Sep2008/The Luminaire
08/09/08|Rough Trade Instores
The Gaslight Anthem,The Breeders
08/08/30|Conor Oberst and The Mystic Valley Band
27August2008/The Electric Ballroom
08/08/14|Cold War Kids
11Aug2008/Bloomsbury Ballroom
08/08/05|Calvin Johnson
3Aug2008/Elizabeth House Youth Club
08/07/29|Daniel Johnston/Butthole Surfers
26July2008/Rough Trade East--The Forum
08/07/27|Fuji Rock Festival
25July2008/Naeba Suki Resort
08/07/25|The Flaming Lips
20July2008/Lovebox festival
08/07/14|The Magnetic Fields
10July2008/Cadogan Hall
08/07/09|Neon Neon
06July2008/Cargo
08/07/08|Beck/Morrissey
04July2008/Wireless Festival@Hyde park
08/07/05|Jandek
15June2008/The Nave
08/07/01|Glastonbury Festival Day2
28June2008/Worthy Farm
08/07/01|Glastonbury Festival Day1
27June2008/Worthy Farm
08/06/27|Pivot/White Williams
12June2008/Barden's Boudoir
08/06/25|Radiohead
24June2008/Victoria Park
08/06/22|My Bloody Valentine
20June2008/Roundhouse
08/06/17|Fleet Foxes
11June2008/ULU
08/06/12|Bon Iver
04June2008/St Giles In The Fields

2008/07/14

The Magnetic Fields

10July2008/Cadogan Hall

写真もディストーションかけてみました(ウソ。偶然です)

コンサートというよりも、「マグネティック・フィールズとの夕べ」だの「リサイタル」といったちょっと古めかしい形容の方が似合いそうだ・・・そんな思いが頭に浮かんだのは、マグネティック・フィールズ久々のロンドン3夜連続公演が行なわれた会場(100年以上前は教会だったとか。普段はジャズやクラシック公演がメイン)が小金持ち御用達のエクスクルーシヴなエリア=チェルシーにある、という背景も手伝っていたかもしれない。スケールではRFH、ゴージャス度ではアルバート・ホールに敵わないものの、筆者のようにこきたない普通のロック・ファンにはほとんど縁のない高級地区。それだけでやや敷居が高い気がしたし(新宿だの渋谷のライヴ・ハウスに慣れている人間が白金の音楽堂に迷い込んだようなもの)、場内は全席指定だ。携帯電話の電源オフはもちろん、途中でトイレに立ったりするのも顰蹙を買いそうなのでじっと我慢の子、飲むこともなく開演を待つことにする。

彼らを観るのは7年ぶりだが、前回がスウェーデンのロック・フェス出演時という割と雑然とした状況だったのを思い返すとずいぶん違う。とはいえ、グランド・ピアノ、チェロ、アコギ、譜面台などが置かれたステージの整然とした雰囲気、およびビールでもミネラル・ウォーターのボトルでもなくお茶のカップ&ソーサーを手に現れたスティーヴン・メリットの慇懃無礼なプレゼンスは変わらず(まあ、ティーカップの中身はウィスキーだったかもしれないけどね)。会場の表には「ジーザス&メリー・チェイン以上にJAMCな音」を目指したという(笑)最新作「Distortion」のポスターが貼ってあったにも関らず、楽器はすべてアコースティックというのもひねくれたポップ性で知られる彼ららしい。もちろん、耳の悪いスティーヴン自身がラウドな音響に耐えられないというのもあるのだろう。幕間を挟んでの2部構成という約2時間の間じゅうずっと、彼はオーディエンスが喝采を送るたび大袈裟に左耳を塞いでいた。そんなスティーヴンはちょっと可哀相だったが、PAは抜群!盤を聴くのと変らない、クリスタル・クリアーなサウンドに最初から最後まで酔い痴れました。
演奏曲目はさすがに最新作「Distortion」が中心だったものの(「California Girls」、「The Nun‘s Litany」、「Old Fools」、「Zombie Boy」、「Courtesans」、「Too Drunk To Dream」、「Drive On,Driver」、「Three Way」など8割方演奏してくれました)、名作「69 Love Songs」、「i」、6thやゴシック・アーチーズ、スティーヴンのソロ(「Showtunes」)から初期「Holiday」からの曲も含むキャリア包括的なもので、オールド・ファンも新参者も嬉しい内容。エレ・ポッピーなイメージの強いバンドながら、音楽スタイルとしてはクラシック、ジャズ、ラグタイム、トーチ・ソング、ポップと様々な影響を消化しているのを改めて感じたし、一方でスティーヴンの感情を排した個性的な低音ヴォイスという強烈な「軸」さえあればどんなスタイルでもマグネティック・フィールズ・ミュージックとして成り立つのだなとも思った。伴奏はピアノのトレモロ程度で独唱に近かった「Old Fools」がこの晩筆者にもっとも深い感動をもたらしたのもそのせいだったと思うし、ツアーの移動中に機材が消え、不慣れな楽器でのパフォーマンスにメンバーもボヤき気味だったものの(ブズーキを演奏していたスティーヴンがチューニングに手間取り、カポを借りていろいろ試したけど結局諦めて演奏開始・・・というかわいい場面も)、そのちょっとした苦難にも会場のあらたまった雰囲気にもまったく動じることなく、ピアノを挟んでシニカルなジョーク(たまにあっけらかんと際どい)をキャッチボールするスティーヴンとクローディア・ゴンソン(=ピアノ&歌唱)の話術にカジュアルな空気が広がっていった(やや倦怠期の、しかし腐れ縁で離れられない/離れるつもりもないカップルの会話を70年代のウディ・アレンが演出したらあんな感じかもしれない)。野球帽にチノ・パンのスティーヴンといいTシャツ&クロップト・パンツ+サンダルのクローディアといい、朝起きて犬の散歩のついでに新聞とドーナツを買いにアパートからふらっと出てきたような普通のいでたちでまったく気負いがない。大人のバンドである。

しかし、そんなごくごく普通の、それこそ老成した5人が織り成すみずみずしくデリケートな音――中世音楽を思わせる瞬間すらある――とそこから立ち上がる世界は、青くロマンチックで残酷な、知的な大人のための童話を思わせるものだった。風にそよぐスミレの花びらや白い夕顔のように繊細でジェントルな室内管弦楽アンサンブルにプレイされる楽曲の数々、特に「Distortion」収録曲は、オリジナル・ヴァージョンにあった様々な縁取り(フィル・スペクター風のディレイやリヴァーブ)を取り外されたことでシンプル&イノセントですらあるメロディの美しさと歌詞の対比を際立たせていた。「California Girls」は歯並びもよく鼻も完璧な若いバブリー・ブロンド美女への嫌悪(パリス・ヒルトンあたりがモデルか?嫉妬の裏返しだろうが、真逆の女としては深~く共感&ビーチ・ボーイズの理想は悲しくもはるか彼方という現実を突きつけてもくれます)を歌った曲だが、清楚なサウンドをバックにサンディ・ショウやカースティ・マッコールを思わせるシャーリー・シムズ(Vo)の鈴振る歌声が「I Hate California Girls!」と無邪気にコーラスする様は、さながら最高級の羽毛布団に包まれて窒息死させられるようなエレガントな悪意だった。
その棘は、セレブ文化だのマッチョといった無神経やガサツな暴力/ノイズが色々とまかり通る現実の中で、それでもロマンだのちいさな夢だのをチマチマ構築しその中で生きようとすることで、変人~マイノリティ扱いされている非力な人間――ロマンチックで繊細な人、と言ってもいいかもしれない――のちょっとした抵抗なのだろう。先述したように、スティーヴン・メリットはライヴの間中辛そうに喝采に耳を塞いでいた(たぶん耳栓も使っていた)。筆者の後方に立っていたベテラン・ファンとおぼしきオヤジ連中は感動・歓喜のあまり「ギャッホウウゥゥゥォォォォ!!」と盛んに大喚声を送っていたが、パフォーマーとして普通だったら嬉しいはずの声援にすら、彼はぶっちゃけかなり不快そうだった。

そんな風に、マグネティック・フィールズの何回もツイストされた音楽とスティーヴン・メリットの難儀で複雑な世界に一般人の尺度は通じない。彼のぼやき声も囁くようなメロディも、かなわぬ愛を求める辛さも追想も、きっとプライヴェートすぎて誰も本当のところは共有しない(筆者だって理解できない)。だからたぶん、磨き抜かれた小さな毒の棘を彼が刺してみたって、鈍感な相手の太い腕にチクリと痛みが走る程度で、何も変らないってことは彼自身知っている。けれど、その毒を誰かが放つことで救われる人間もいる。モリッシーがどこまでも弱者の立場に立って毒舌・不穏分子であることをやめないように、スティーヴン・メリットも弱者のため息を掬いとっているのだろう(両者の音楽的アプローチは異なるが)。ふたりは一見自信に満ちて見えるし、知性と諧謔、凡人を煙に巻くミステリアスな外壁はアンタッチャブル。だがそこには始めから負けを知っている人間特有の諦め――と、それでも(何度失望させられても)夢見ることを諦められない悲しさがあると思う。だから筆者のようなダメ人間にも共感の余地があるのだろう。本編を終え、アンコールの最後を飾ったのは「69 Love Songs」から、「Grand Canyon」。〝もしも僕がグランド・キャニオンだったら 君の言うことなんだって 山びこのように繰り返しただろう/でも僕は僕 他の何物でもない〟という一節を聴きながら、スティーヴン・メリットの音楽にある根源的な切なさが自分にとっては今も有効であることがよく分かった。というか、この人の10年近く前も今も変わらぬセンチメントの一貫性に慰められた、という方があたっているかもしれない・・・

マグネティック・フィールズを脱兎チェック!


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