どうやら今年唯一のUKショウになりそう・・・ということで、行ってまいりました~。フレイミング・リップス@Lovebox Festival。ちなみにラヴボックスというのは「イケイケさん」ことグルーヴ・アルマダがオーガナイザーを務めるフェスで、開催サイトは東ロンドンのVictoria Park、イコール野外生活が基本的に苦手な筆者にはもってこいの都市型フェスティヴァルでございます。
2日間にわたって開催されるこのフェス、初日土曜日はヒューマン・リーグ(爆)、マヌ・チャオ他がラインナップされ、筆者が足を運んだ2日目=日曜日の目玉はゴールドフラップとリップス。見たいバンドは他にもいたんだけど(The Pethとかね)、あいにくどのバンドも出演時間が早くてチェックすることができなかった。サイトに入場した頃にプレイしていたのはダンディ・ウォーホルズとヘイシード・ディキシー。どっちも嫌いじゃないし、ダンディーズに関しては新作からの曲を聴きたいと思ってもいたのだが・・・いかんせん狭い敷地に4、5ステージという無理がたたり(?)、メイン・ステージの爆音が耳に混じってきてまともにエンジョイできない。ダンディ・ウォーホルズとゴールドフラップのマッシュアップを聴きたい人なら別だろうが、いくらなんでもあのPAはひどい。レディング以下でしょう。ともあれグラストンベリーにまでえっちらおっちら行くほどの気力がないロンドン都会人は割りと平気なようで、グルメな屋台(Brindisaの屋台が出ていて感動!)の提供する食事や酒をかっくらい、友達と楽しげに談笑している。それを見習い筆者も一応パエリヤに挑戦してみたのだが、おこげをこそげとって申し訳程度にエビが乗っかってるだけのトマト味のご飯(ちゃんとサフラン使えよ!)に6ポンドも払うのはかなり不本意だった。フェスでちゃんとした食事にありつけるという幻想はもうチャラにしよう。次回から弁当持参だ!
ゴールドフラップのにぎやかなステージが終わり①酒補給②トイレ休憩に急ぐ群衆の流れを逆行し、ステージ近辺に居座る。観るのは何回目なのかもう数えるのも億劫なくらいだが(93年以来なので、もうかれこれ15年観ているのだな)、リップスに関しては何度観ても飽きない。この晩のショウにしても過去4、5年内容の根本は変らないし、去年もグラスゴーで観ている。それでもウェイン他メンバーとスタッフがステージを設営し、銅鑼が運び込まれ、ミシェルがカメラ片手にうろうろする様を眺めているだけでなんだか楽しい気分になってしまう。これからステージの上で何が起きるかほぼ分かっているのだけれど、それでも彼らのスペクタクルは他に換えがたいから。
LEDスクリーンをチェックしたりオレンジ色に統一された機材(銅鑼もライトで囲んであって、なんだか雷神さまの太鼓みたい。ちなみにスタッフも全員オレンジの上着を着ている)の間を動き回るスーツ姿のウェインにいつものようにオーディエンスから掛け声が飛び、ガッツ・ポーズを返してくれる。開演時間をやや過ぎたところでステージ向かって右側にアイアン・マン(トレンディですな)に扮した一群、左側にピンクのローブをまとった一群がわらわらと登場。骸骨コスチュームのマイケルに続いてスティーヴンが位置に着き、SF映画風なイントロ・インストをプレイするうち出ました!宇宙泡ことスペース・バブルに入ったウェインがステージか観客の上に転がり落ちてくる。ここらへんの演出・連係プレイは「バブル」をやり始めた頃に較べてずいぶんスムーズになっていて、もはや熟練の域である。しかしウェインが人々の頭上をあっちに転がりこっちに揺られとさまよう様は何度観てもとんでもないというか(笑)、スリルと笑いが一緒くたの光景。ボールが無事ステージに戻り、ウェインが中から出てくるとみんなそれだけですごい達成感に包まれてしまう。
続いて本編をキック・オフするのは待ってました~!「Race For The Prize」。風船・紙ふぶき・ライトが狂ったように吹き荒れ、エピックなメロディがオーディエンスをひとつに束ねていく。イェイ!銀色のダブル・ネック・ギターを手に、お客との「Fanatical/F**K!」のコール&レスポンスが目玉の「Free Radicals」のぐにゃついたファンクを決めた後、ウェインが「次の曲では、みんな・・・裸になってそこらへんを走り回っても大丈夫だからね!夏だし」と笑わせるMCをカマして「Song Remains The Same」のセクスィーなイントロ・リフに突入。むーん、最高にハマるね。バックの映像も、ヒッチハイクしていた若者がグラマーなおねえちゃんに誘われ森の中で追いかけっこ→次第にふたりとも衣服を脱ぎ捨てていき・・・と、シガー・ロスの最新作も真っ青のおバカなヌーディスト映像でみんな爆笑。スティーヴンのギターはすんばらしく冴えてるが、いざ歌が始まるとウェインの音程外れすぎ~なところもリップスらしい。去年はストーンズをカヴァーしていたし、それ以前はピンク・フロイド、ブラック・サバスなど。このツェッペリンといい、やっぱり自分達の基本に忠実な人達である。
しかしCamp Bestivalというフェスに前日出演、そのままLoveboxに流れてきたからか(?)この日の先生は珍しくややお疲れ気味。声も掠れているし、それでもいまひとつノリの悪いオーディエンス(都市型フェスだけに、いい意味でも悪い意味でもぬるいのよね)にハッパをかける様子がちょっと痛々しい。とはいえイギリスでのブレイク・ポイントになったアルバム「Yoshimi~」からの「Fight Test」はさすがにリアクションが良く、続いて「Mountain Side」という珍しい選曲。今の彼らが昔のリップス曲をプレイしたらどうなるのかな?とよく考えるので、これは嬉しい展開だった&スモークとストロボばきばきのロックンロールに昔日を思い返しもしたり。「ゴールドフラップに捧げます」とのスティーヴンの献辞から「My Cosmic Autumn Rebellion」が始まり、グリーンのレイザー光線が夕焼けの中乱舞する様は文句なしに美しかった。キーボードのシンプルな伴奏とオーディエンスのシンガロングがマジ泣けた「Yoshimi Battles~」のエモーショナルなハイライトを経て、スティーヴンの名曲「Pompeii Am~」に突入。もろに70年代ピンク・フロイドなこの曲だが(笑)、野外であの壮大な音を爆音で聴くのはやはり最高に気持ちいいっす。
「Yeah Yeah Yeah Song」で再びエネルギーをチャージし、紙ふぶきを詰めたバルーンが「Yeahhhhhh!」と元気に連呼するオーディエンスの頭上でポンポン破裂していく。「The W.A.N.D.」のシュールなブレイク(ライト・ボックスを抱えて文字通りウェインが「輝いて」いました)に続き、ラストはやはりこれでしょう、「She Don‘t Use Jelly」!夏のクレイジーな日差しに脳が乱反射するようなこの曲のサイケデリアは、いまだに有効。スプーン曲げみたいに、心のタガがカタリと外れるのだ。そんな音楽、自分にとってはリップスだけかもしれない。会場が住宅地の公園ということもあり、終演時間はきっちり時間どおり。それだけにかなり駆け足なショウではあったが、過去数年間の経験と蓄積がみっちり凝縮されていたのでまったく不服なし。バンドはこれから「Christmas On Mars」公開他で別のアイデアに着手するのだろうし、新作レコーディングもそろそろ視野に入ってきている・・・というわけで、なんとなく「Soft~」から始まったひとつのディケイド――紙ふぶきと風船と着ぐるみが詰まったびっくり箱――に区切りがついたような気分になったのだった。
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