A Wizard, A Bona Fide Pop Star!
常々無節操&ボーダーレスなポップ・カルチャー・ウォッチャーを自認しているミーハーだが、そんな自分の「スタァ・レーダー」が久々にビビビッ!と反応、いまだレッド・ゾーンを越えたままのポップ・リーヴァイのライヴに行って来ました。こういう強烈なキャラクターがたまに出てくるから、音楽を聴くのをやめられないんですな。
ロンドン生まれ、リヴァプール経由で現在LAが拠点。90年代後半からポスト・ロック・バンド(というかコズミック・ジャズ・コミューン?)=スーパー・ヌメリで活動し、レディトロンに一時期参加した後、満を持してのソロ・デビュー・アルバム「The Return To Form Black Magick Party」を今年リリースしたこの御仁は、ブルースや初期ロックンロールをセクシーかつモダンにアレンジ&アップデートするグルーヴァーとして注目を集めている――と、それだけならネオ復古派だが、黒魔術や水晶球占いといった聴き手を煙にまくような「トッピング」を銀粉のようにふりまき、自らを神秘のヴェールで包んでいるところがミソ(とはいえ満更ギミックでもなく、魔術には本当に凝っているらしい。前回観たライヴでは、演奏前に魔女が登場し、お香を焚いて「お清め」儀式をやってました・・・)。
最近だと初期ザ・ホワイト・ストライプスの「ジャック&メグ姉弟伝説」、ミューズの「宇宙人コンスピラシー」、ザ・フレーミング・リップス「神秘主義」、クラクソンズ「アレイスター・クロウリー崇拝」などが思い浮かぶが、音楽と自前の神話(フォークロア、あるいはコンセプトともいう)はファンカデリックの昔からマーズ・ヴォルタまで、切っても切れない縁。その意味で、ポップ・リーヴァイはジミー・ペイジやマーク・ボランといった英国が誇るミスティック・ロッカーの遠い末裔、あるいはデヴェンドラ・バンハートの従兄弟と言えるだろう。
そういった「奇妙なもの」「科学やロジックを逸脱する不思議」に(比較的)抵抗なく飛びつけるのは、いつだって男性より女性。それをミーハーと笑われることもあるが、女の子達の方が素直に「訳は分からないけど、好き」と言えるってだけの話じゃないか?と思います。というわけで、アルバム発売後初のプロパーなロンドン公演となるこの晩も会場には女性客が目立ち(ポップ・リーヴァイが男前って点はもちろん大きいが)、その熱気にスタァ誕生――たとえば、マーク・ボランがアングラ・フォークの詩人からピンクのサテンに身を包んだブギー・アイドルに転生したように――の予感が否応なく高まっていく。注視と大歓声の中ステージに上がったポップ・リーヴァイは、女しか着ないであろう(たぶん女物)サイケなモザイク柄フロック姿もばっちり決まっていて、演奏が始まる前の時点で「この人は、明らかに他の誰とも違うわな」と場内を一気に納得させてしまう。期待を裏切らないオープニング、最高っす。
1・2、1・2・3!のキューで始まったSugar Assault~は、ヴォーカル・パートが入るまで10分近くヒプノティックなイントロをえんえん引っ張るアレンジで、1曲目からいきなりスイッチ・オン。機関車並みの勢いでミニマル・ビートを叩き出す黒ずくめのバック・バンドWoman(リズム・ギターとドラムスが抜群)も演奏に完全没入していて、プリンスやアウトキャストを思わせる極上のバブルガム・ファンクからツェッペリン風ロックまで、鮮やかにキレ良く乗りこなしていく魔法使い=ポップ・リーヴァイを援護していく。ファンに人気のバラッドSkip Ghettoなど、しっとり聴かせる場面もスポット的に登場したが(この人には、たまにジョンの魂が宿ります)、チャック・ベリーのダック・ウォークならぬ「ロボット・モッド・ダンス」(PVでご確認ください)で沸かせた怒涛のロックンロール・レヴューDollar Bill Rockで締めた約1時間のセットは、最後までアッパーかつハイパーなビート・オーヴァードライヴ。踊り狂って汗だくだったけど、今年自分が観た中で(まだ半年も経過してませんが)3本指に入るライヴだったし、アルバムでは十全に伝えきれていないこのエナジーを、日本のファンの前でも披露してほしい!と願わずにいられなかった。
センスの良さ(相当にハイブロウ&マニアックな音楽ファンなんだろう)は突つけばいくらでも出てくるだろうが、それを分かりやすいポップ・ミュージックとして提示できるのは、ぱっと聴きトリッキーなことをやっているように見えて、この人のソングライティングは実にクラシックで無駄がないからだと思う。潔く引き絞られたシンプルな素地だからこそ、上に何を重ねてもコアは混濁しない。あれだけ演奏をストレッチし、随所にひねりを効かせていたあの夜のパフォーマンスも、終演後残ったのは清々しいほどのポップの快~無条件にハッピーな手ごたえだった。何であれ、核心を掴んでいて迷いのない人は強く美しいもの。ポップ・リーヴァイのマジック・サークルには、そのポジティヴなオーラ=「スター」という磁力が横溢していた。
つーわけで、セット・リストまで付けちゃいます・・・
Sugar Assault Me Now
Pick-Me-Up Uppercut
Blue Honey
Crying Chic
Bloodlust
Mournin’ Light
Day That You Were Born
Skip Ghetto
Dollar Bill Rock
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